「定年後の生活って、実際お金はどれくらいかかるんだろう?」定年が近づくにつれて、こんな漠然とした不安を感じている方も多いのではないでしょうか。現役時代と定年後では、お金の「入り」だけでなく「出」も大きく変わります。今回はその変化を具体的に整理しながら、安心してセカンドライフを楽しむための考え方をお伝えします。
変化1:収入の形が変わる
現役時代は毎月決まった給与が入ってきますが、定年後は公的年金が収入の中心になります。厚生労働省のデータでは、夫婦世帯の平均年金月額は約21万円。ただしこれは平均であり、現役時代の収入や加入期間によって大きく変わります。退職金を一時金で受け取るか年金形式で受け取るかの選択も、収入設計の大きなポイントです。一時金ならまとまったお金を運用に回せますが、年金形式なら計画的な生活費として管理しやすくなります。
ポイント:退職金と年金、それぞれの受け取り方を理解した上で、毎月のキャッシュフローを事前にシミュレーションしておくことが大切です。
変化2:支出の中身が変わる
現役時代の支出の多くは「仕事に関係するお金」です。スーツや交通費、交際費、昼食代など、働いているからこそかかっていた出費が定年とともに減ります。一方で増えるのが「自由時間を楽しむお金」。旅行、趣味、習い事、家族との時間など、これまで後回しにしてきたことにお金を使う喜びが生まれます。また、年齢とともに医療費が増える傾向にあることも念頭に置いておきましょう。生命保険文化センターの調査では、60代以降の年間医療費は平均で約16万円。70代以降はさらに増加します。
ポイント:削れる支出と増える支出を具体的に洗い出し、「何にお金を使いたいか」を夫婦で話し合っておくことが、豊かなセカンドライフの第一歩です。
変化3:お金の管理スタンスが変わる
現役時代は「増やす」ことが資産運用の中心でしたが、定年後は「減らさない」ことと「使い切る」ことのバランスが重要になります。特に注意したいのが「退職金の使いすぎ」。まとまったお金が手元に入ると、つい大きな買い物や贅沢な旅行に使いたくなりますが、30年以上続くかもしれない老後生活を見据えると、計画的な取り崩しが欠かせません。一般的な目安として「4%ルール」(毎年の取り崩し額を資産の4%以内に抑える)が知られていますが、日本では年金収入があるため、もう少し緩やかなペースでも大丈夫なケースが多いです。
ポイント:退職金や貯蓄を「いつ・いくら取り崩すか」の計画を立てる。漠然と「減らさないように」と思うより、具体的な数字で設計することで安心感が生まれます。
今からできる3つの準備
1. キャッシュフロー表を作る:定年後の10年、20年をイメージして、いつどんな支出があるかを書き出してみましょう。住宅のリフォーム、子どもの結婚、車の買い替えなど、節目の出費を見える化するだけでも不安は大きく減ります。
2. 支出の優先順位を夫婦で共有する:「年に1回は旅行に行きたい」「孫に何かしてあげたい」など、お金をかけたいことを夫婦で話し合いましょう。価値観の違いに気づけるのも、この話し合いの大きなメリットです。
3. プロに相談して客観的な意見をもらう:自分たちだけでは気づかないリスクや、もっと良い選択肢があるかもしれません。一度専門家の目でライフプランをチェックしてもらうことで、安心して定年後を迎えられます。
定年後のお金の話は「心配」から始まりがちですが、見方を変えれば「これからの人生をどう楽しむか」を考える絶好の機会です。ぜひ前向きに、ご自身のセカンドライフ設計を始めてみませんか?
執筆者
福井 秀延
ファイナンシャルプランナー / 株式会社ミション 代表
